
Wantedly(ウォンテッドリー)とは、給与や条件ではなく、企業の考え方や向かう方向への共感を軸に、会社と個人が出会うビジネスSNSです。2012年のサービス開始以来、登録会社数は44,000社、個人の登録ユーザーは450万人を超えました(2026年6月・運営会社発表)。
ただ、導入を検討している方が本当に知りたいのは、サービスの定義ではないはずです。うちの会社で使えるのか。いくらかかるのか。始めたら何が起きるのか。この記事は、その判断に必要な材料だけを、Wantedly公式パートナーとして日々運用している立場から整理しました。良いことばかりは書きません。向いていない企業の条件も、そのまま書きます。
Contents
Wantedlyとは|3つの要点でつかむ
運営はウォンテッドリー株式会社(東証グロース上場)。「究極の適材適所により、シゴトでココロオドルひとをふやす」をミッションに掲げ、共感を軸としたマッチングを設計思想に置いています。仕組みを短く言えば、次の3点に集約されます。
1|条件ではなく「共感」で出会う設計
給与などの条件を前面に出さず、事業の目的や働く人の考え方を起点にする構造です。応募の前に「話を聞きに行く」カジュアル面談から入れるため、転職を決めきっていない層とも接点を持てます。
2|成功報酬がない、期間契約型
契約期間の料金を払う形で、採用が決まっても成功報酬は発生しません。契約期間内であれば募集の掲載本数や応募者数に上限がないため、複数職種を並行して募集する会社ほど費用構造が有利になります。
3|求人票ではなく「発信」が主役
会社ページとストーリー(記事)で、事業の背景や人となりを継続的に発信できます。書いた記事は資産として残り続けます。逆に言えば、発信しなければほとんど何も起きません。ここが最大の分かれ目です。
求人広告・人材紹介と、何が違うのか
違いは「課金の構造」「出会える層」「残るもの」の3つで整理すると分かりやすくなります。
課金の構造。
人材紹介は採用が決まった時点で成功報酬が発生し、求人広告は掲載そのものに課金されます。Wantedlyは契約期間に対する固定費で、採用人数が増えても追加費用はかかりません。1名採用すれば終わりという会社より、継続的に採用が発生する会社のほうが単価は下がっていきます。
出会える層。
求人媒体や紹介で出会うのは、基本的に「いま転職を決めた人」です。WantedlyはビジネスSNSであり、転職を決めきっていない層とカジュアル面談を通じて接点を持てます。すぐに決まらない代わりに、条件比較の土俵から降りられるという性質があります。
残るもの。
掲載期間が終われば求人広告は消えますが、Wantedlyに書いた記事は会社の言葉として蓄積されます。中途採用の年間費用は1社あたり平均650.6万円で3年連続の増加という調査もあります。同じ支出でも、消えていく費用と、翌年も効く資産とでは意味が違います。
手法ごとの費用構造をもう少し細かく比べたい場合は、ダイレクトリクルーティングの解説記事や、介護・福祉の採用コストを下げる方法もあわせてご覧ください。
できること|会社ページ・募集・ストーリー・面談・スカウト
会社ページと募集
会社ページには「なにをやっているのか」「なぜやるのか」「どうやっているのか」を書く欄があり、事業内容よりも先に目的と価値観を語る構造になっています。募集はポジションごとに作成し、契約期間中は本数の制限がありません。反応を見ながら書き換える運用が前提の設計です。
ストーリー
社内のブログのように記事を投稿できる機能です。メンバー紹介、事業の裏側、大変だった時期の話など、求人票には載らない情報を届けられます。ここが空のままのアカウントは、候補者から見ると「何も分からない会社」になります。
カジュアル面談
選考ではなく、まず話す場から入れるのがWantedlyの中心的な体験です。2026年3月には、求職者が「この人と話したい」と相手を指名して面談にエントリーできる機能も追加されました。誰が出るかまで含めて、採用の入口が設計対象になっています。
ダイレクトスカウト
企業から候補者へ直接声をかける機能で、上位プランに搭載されます。ここを使うかどうかが、待つ採用(Pull型)か、攻める採用(Push型)かの分岐点です。急いで母集団をつくる必要があるならスカウト付き、時間をかけて共感で集めるなら最小プラン、という選び方になります。
料金の仕組み|プランと契約期間で決まる
料金は、基本プラン(ライト・スタンダード・プレミアム)と契約期間の組み合わせで決まります。契約期間が長いほど、月あたりの負担は下がる設計です。プランの違いは、主に「管理画面を使える人数」と「ダイレクトスカウトの有無・通数」にあります。
最小のライトプランでも、最大15名が募集やストーリーの投稿・企業ページの編集を行え、募集の掲載本数と応募者数に上限はなく、応募者とのメッセージのやり取りも可能です。スタンダードプランになると編集できる人数が最大30名に増え、ダイレクトスカウト機能が加わります。
具体的な金額について、公式サイトは料金表をダウンロード形式で提供しています。しかも料金は固定ではありません。実際に2026年6月にも、一部プランで価格改定が行われました(Wantedly社からの案内による)。ネット上の記事に載っている金額をそのまま社内稟議に使うと、申し込み時点で条件が違っていた、ということが起こり得ます。最新の料金表で確認するのが確実です。当社が配布している無料ガイドにも、受領時点の料金体系を整理して掲載しています。
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Wantedlyまるわかりガイド(無料)
プラン構成と料金体系、機能の全体像、始め方の手順、当社の運用データまでを1冊にまとめています。社内での検討・稟議にそのまま使える資料です。
もう一点、契約前に必ず確認しておきたいのが更新の扱いです。有料プランは自動更新が基本で、更新を止める場合は管理画面から手続きが必要になります。「気づいたら次の期間が始まっていた」を避けるため、契約期間の終了日と手続きの締切は、申し込みの時点でカレンダーに入れておくことをおすすめします。
見落とされがちな「本当のコスト」は運用工数
導入判断でいちばん誤りやすいのが、媒体費だけで比較してしまうことです。Wantedlyは、掲載すれば応募が来る仕組みではありません。書いて、届けて、返信する人の時間が必ずかかります。
当社の運用実績を目安にすると、募集の1投稿でおよそ1時間、ストーリー記事1本でおよそ10時間(取材・執筆・写真の準備を含む)。月に募集の更新とストーリー1本を回すなら、月10時間から15時間程度が現実的な線です。この時間を誰が持つのかを決めずに始めると、3ヶ月で更新が止まり、費用だけが残ります。
つまり判断すべきは「媒体費を払えるか」ではなく、「媒体費+月10数時間を払えるか」です。社内で確保できないなら、支援を入れるか、今回は見送るか。この二択を先に決めておくほうが、結果的に損をしません。
高い媒体を選ぶかどうかより、
書く人を決められるかどうかで決まる。
2026年、WantedlyはAIでどう変わったか
この1年で、Wantedly周辺の機能は大きく動きました。導入判断に関わる範囲だけを、時系列で整理します。
2025年11月
AIエージェントモード
採用要件を入力すると、AIが候補者のリストアップまで行う機能。スカウト付きプランの契約企業向けに、追加費用なしで提供されています。候補者を探す工程そのものが自動化の対象になりました。
2026年2月
キャリアAIエージェント/AI書類選考アシスタント
求職者側には、AIが募集探しを手伝う機能が無料で提供開始。企業側には、採用管理システム「Wantedly Hire」で書類選考を補助する機能が加わりました。探す側と選ぶ側の両方に、AIが入ったことになります。
2026年3月
指名カジュアル面談
求職者が話したい相手を指名して面談にエントリーできる機能。「誰が働いているか」を出しているかどうかが、そのまま接点の量に影響する構造になりました。
ここから読み取れる示唆は明確です。探す・捌くという工程は、これからAIが担っていきます。そのぶん、差がつくのは残った部分、つまり「何を語っているか」です。候補者本人が読むにせよ、AIが要約して届けるにせよ、中身の薄い発信が選ばれることはありません。ツールが賢くなるほど、書く中身の差が結果に出やすくなります。この論点はAI時代の採用ブランディングでも掘り下げています。
向いている企業、向いていない企業
正直にお伝えします。Wantedlyはすべての企業に向く手法ではありません。
向いているのは、事業に目的や考え方があり、それを言葉にする意思がある会社。
継続的に採用が発生する会社。3ヶ月から1年の時間軸で採用を仕組みにしたい会社。そして、20代から30代の若手・ポテンシャル層に届けたい会社です。給与や知名度で大手と並べられると不利になる規模の会社ほど、条件以外の土俵に移る意味があります。
向いていないのは、今月中の欠員補充だけが目的の場合。
この場合は人材紹介や派遣のほうが合理的です。書く担い手をどうしても用意できない場合も同じで、契約しても資産が積み上がりません。加えて、経験年数や資格の要件が非常に厳しい専門職を1名だけ探すケースも、母集団の構造上は紹介のほうが早いことが多いです。
迷いやすいのは「うちには語ることがない」と感じている場合ですが、これは大半が誤解です。語ることがないのではなく、言葉になっていないだけ、という会社にほとんどの場合お会いします。
実際どのくらいの成果が出るのか|当社の実運用データ
支援会社の話は、自社で運用していない限り説得力を持ちません。当社は自社と子会社のアカウントを、実際に運用し続けています。2022年7月から2026年6月までの2アカウントの累計は、募集・記事の閲覧が約4.3万PV、応募とエントリーの合計が918件、正規雇用での採用9名と業務委託での参画7名です。支援先での運用実績は複数社ありますが、各社の情報にあたるため、ここでは自社と子会社の数値だけを載せています。
個別に見ると、就労移行支援事業所を運営する子会社では、媒体費72万円で正規職員3名を採用しました。1名あたり24万円です(スカウト機能のない最小プランの6ヶ月契約を2回。運用は内製で人件費を含みません。金額は当時の料金)。3名とも2年以上勤続しています(2026年7月時点。1名が在籍中、2名は2年以上勤続ののち円満に退職)。支援先の一例では、従業員30名規模の専門商社で、直近1年の媒体費ベースで1名あたり30.5万円、共感を示す「応援」は1,209回でした(社名は先方の保護のため非公開としています)。
スカウトの使い方は、アカウントごとに違います。子会社の福祉事業所は、スカウト機能のない最小プランだけで3名を採用しました。記事と会社ページを読んだ方から、見つけてもらった結果です。一方、当社自身のアカウントではスカウトを併用しています。どちらが正解ということではなく、急ぎ具合と体制で選ぶものだと考えています。
同時に、うまくいかなかった話も書いておきます。当社自身の過去の採用では、費用を抑えて複数名を採用できた一方で、1年以内の離職が続きました。原因は媒体ではなく、入口の設計です。人柄の良さを優先し、仕事の厳しさやどこまで本気で取り組むのかのすり合わせを後回しにしたことが、結果に出ました。この失敗があるので、当社は「先に大変さを伝える」ことを支援の標準にしています。同じ論点は、小規模企業でのWantedly運用の実践記事でも詳しく書いています。
申し込む前に決めておく5つのこと
導入して機能させている会社は、契約前にこの5点を決めています。逆に、決めずに始めた会社の多くが半年後に止まります。
① 書く人を決める。
社長か、担当者か、外部か。名前まで決めます。
② 見る指標と期間を決める。
3ヶ月で何を見るか。最初はPVとカジュアル面談数で構いません。採用数だけを1ヶ月で見ると、ほぼ間違いなく判断を誤ります。
③ 待つ採用か、攻める採用かを決める。
ここでプランが分岐します。急ぐならスカウト付き、積み上げるなら最小プランです。
④ 面談の受け皿を決める。
誰が、何分で、いつまでに返信するか。応募が来てから考えると、いちばんもったいない取りこぼしが起きます。
⑤ 契約期間と更新の扱いを決める。
期間の選び方、終了日、更新手続きの締切を、申し込み時点で共有しておきます。
まとめ|道具の性能ではなく、語る中身で決まる
Wantedlyとは、条件ではなく共感で出会うための場であり、成功報酬のない期間契約で、発信した記事が資産として残る仕組みです。一方で、掲載しただけでは何も起きず、月10数時間の運用と、書く担い手が要ります。この2つを並べて見たときに「やれる」と判断できるなら、中小企業にとって費用対効果の高い選択肢になります。
AIが候補者探しも書類選考も担い始めた今、道具の性能で差はつきにくくなりました。残るのは、自分たちの言葉で何を語れるかです。そしてそれは、契約する前から始められます。
ACTION POINTS
契約前に、今日できる3つのこと
- 「なぜこの会社をやっているのか」を、代表自身の言葉で200字書いてみる
- ストーリーを書く担い手と、確保できる月の時間数を決める(目安は月10〜15時間)
- 直近で入社した社員に「なぜここに決めたか」を聞き、その理由が発信に含まれているか確かめる
「うちの場合は、使うべきか」を一緒に整理しませんか?
無料の採用魅力診断では、貴社の採用の強みと課題を構造化し、Wantedlyが合う会社かどうかも含めてお話しします。自社と子会社で実際に運用している立場から、始めないほうがよい場合はその理由もお伝えします。検討段階のご相談で構いません。
出典・参考
- ウォンテッドリー株式会社「ビジネスSNS『Wantedly』、国内の登録ユーザー数が450万人を突破」(2026年6月24日)(登録会社数44,000社・登録ユーザー450万人・ミッション・サービス開始年)
- Wantedly ヘルプセンター「採用サービスの有料プラン価格・掲載料金について」(プラン構成、編集可能人数、掲載本数・応募者数の上限、料金表の提供方法)
- Wantedly ヘルプセンター「有料プラン自動更新の停止手続きについて」(自動更新と停止手続き)
- ウォンテッドリー株式会社「AIが候補者リストを作成提案する『AIエージェントモード』提供開始」(2025年11月)
- ウォンテッドリー株式会社 プレスリリース一覧(キャリアAIエージェント・AI書類選考アシスタント:2026年2月/指名カジュアル面談:2026年3月)
- マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」(中途採用費用の年間平均650.6万円・3年連続増加)
※本記事の当社実績は次の定義によります。累計値は当社と子会社の2アカウント合算で、2022年7月から2026年6月までの集計です(応募・エントリー数には業務委託の応募を含みます)。支援先の数値は各社の情報にあたるため累計には含めていません。子会社の福祉事業所の採用3名(正規職員)は2023年2月から2025年3月までの掲載によるもので、費用は媒体費のみ(最小プランの6ヶ月契約2回・スカウト未使用・運用は内製のため人件費を含みません)。支援先の30.5万円も媒体費のみで運用費を含みません。掲載した金額はいずれも当時の料金であり、Wantedlyの料金・機能・提供条件は変更される場合があります。最新の情報は公式の案内をご確認ください。本記事は成果を保証するものではありません。