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「任せられる仕事がない」を解く|障がい者雇用の職域設計(業務の切り出し)


障がい者雇用を検討する中小企業から、もっとも多く聞こえてくる悩みがあります。「任せられる仕事がない」です。

けれど、私たちの経験では、本当に仕事がない会社はほとんどありません。仕事が「ない」のではなく、「分解できていない」だけのことが大半です。この記事では、その分解の考え方、つまり職域設計(業務の切り出し)の進め方を整理します。

CONTENTS

  1. なぜ「仕事がない」と感じるのか
  2. 職務を創出する3つの型
  3. 切り出すときの判断軸
  4. やりがちな失敗|「余り仕事」の寄せ集め
  5. 仕事は、人から逆算する

なぜ「仕事がない」と感じるのか

「任せられる仕事がない」と感じるのは、多くの場合、業務を職務というひとかたまりの単位で見ているからです。「営業」「経理」「総務」という単位で考えると、たしかにそのまま任せられる職務は見つかりにくい。

けれど、一つひとつの職務は、細かな作業の集合体です。営業担当が片手間でやっている資料整理、経理の入力作業、総務の備品管理や発送準備。こうした作業を分解して取り出し、組み替えれば、一つの新しい職務が生まれます。これが職域設計(職務の創出)の出発点です。

職務を創出する3つの型

職務をどう創り出すかについては、公的な研究で整理された考え方があります。高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、職務創出の方法として「切り出し・再構成モデル」「積み上げモデル」「特化モデル」の3つを挙げています。実務では、この3つを状況に応じて組み合わせて使います。

① 切り出し・再構成モデル

既存の職務から特定の作業を取り出し、束ね直して新しい職務をつくる方法です。もともと知的障害者の雇用を契機に生まれた考え方ですが、障害の種別を問わず広く有効です。たとえば、複数の部署に散らばっているデータ入力、書類のスキャン、発送準備といった定型作業を一つに集約すれば、それだけで一人分の役割になります。多くの会社で、最初の取っかかりになるのがこの型です。

② 積み上げモデル

最初は確実にできる範囲から始め、習熟に応じて任せる業務を少しずつ増やしていく方法です。いきなり完成形を求めず、本人の成長とともに職務を広げていきます。定着とキャリア形成の両方に効く考え方です。

③ 特化モデル

本人の強みや特性がもっとも活きる業務に、職務を特化させる方法です。たとえば、集中力と正確性が際立つ人には、検査やデータの突合、定型処理といった、精度が成果に直結する業務が合います。「できない」を補うのではなく、「際立つ強み」から職務を組み立てる発想です。

切り出すときの判断軸

では、どの作業を切り出せばよいのか。siroでは、次の4つの軸で見ています。

  • 定型性・反復性があるか(手順が安定しているか)
  • 品質の基準が明確か(できた・できていないが判断できるか)
  • 本人の特性に合っているか
  • その仕事に意味と評価があるか

最初の3つは取り組みやすさの観点ですが、本当に大切なのは4つめです。ここを外すと、次の失敗につながります。

やりがちな失敗|「余り仕事」の寄せ集め

職域設計でもっとも多い失敗が、誰もやりたがらない「余り仕事」を寄せ集めて職務にしてしまうことです。これには、二つのコストがあります。

一つは、意味と評価の欠如です。意味の感じられない雑務の集合は、本人のモチベーションを確実に下げます。「自分は数合わせで雇われたのだ」と感じさせてしまえば、定着は遠のきます。会社にとっても、その職務が事業にどう貢献しているか説明できなければ、現場の納得は得られません。

もう一つは、成長機会と実感の欠如です。見落とされがちですが、障がいのある方のなかにも、成長意欲を持って働きたいと考える人は少なくありません。実際、就労移行支援の現場でも、スキルを伸ばし、任される範囲を広げたいと臨む方が一定数います。そうした人が、変わらない単純作業のルーティンに「間に合わせで置かれている」と感じれば、退職につながります。これは障がい者雇用に固有の話ではなく、一般雇用とまったく同じ構造です。数合わせや間に合わせの仕事が人を辞めさせるのは、どちらの領域でも変わりません。

切り出した職務には、意味と評価、そして伸びしろを持たせる。「この仕事は、誰の・何の役に立っているか」「半年後、一年後にどう広がりうるか」を言葉にできる状態にしておくことが、続く職務とそうでない職務を分けます。

ただし、すべての人が同じではありません。決まった作業を淡々と続けたい人、安定して働けることそのものに価値を置く人もいます。どちらが良い悪いではなく、本人がどちらを望んでいるかを設計に反映することが大切です。成長を望む人には、任せる範囲を段階的に広げる「積み上げモデル」が合います。安定を望む人には、強みが活きる職務に腰を据えられる「特化モデル」が合います。

仕事は、人から逆算する

同じ「事務の仕事」でも、向いている切り出し方は人によって違います。集中が強い人、対人が得意な人、手順どおりに正確にこなすのが得意な人。それぞれに、力を発揮できる職務の形は異なります。

だから職域設計は、業務の分解だけで完結しません。本人が何を得意とするか(特性)と、どう働きたいか(志向)。その両方を理解し、どの職務に結びつけるか。人から逆算する視点とセットで、はじめて「続く職務」になります。本人の自己理解を支える仕組みと組み合わせることで、設計の精度はさらに上がります。

ACTION POINTS

今日からできる、3つのこと

  1. 各部署で「片手間でやっている定型作業」を書き出してみる
  2. 書き出した作業を、定型性・品質基準で「切り出せるもの」に絞る
  3. 束ねた職務に「誰の・何の役に立つか」と「どう広がりうるか」の一文を添える

「任せられる仕事」は、設計できる。

業務の棚卸しから職域設計まで、現場に合わせて一緒に整えます。「何から手をつければいいか分からない」段階からのご相談で構いません。

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出典・参考

※本記事は、siroの障がい者雇用支援の知見と、公的機関の資料をもとにした一般的な整理です。御社に合った職域設計は業種や体制によって変わるため、具体的なご相談はお問い合わせから承ります。

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siro編集部

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