【3つのポイントで魅力を引き出す】社員インタビュー成功への道
採用コンテンツとして定番の「社員インタビュー」。
自社の働きやすさや仕事のやりがいを社員の言葉で伝えることができるため、リアリティのある情報発信で求職者の心を掴み、入社後のミスマッチも減らすことのできる非常に優れたコンテンツです。
しかし、実際に採用担当者として自社の社員にインタビューをしてみると、意外と難しいことに気付くかもしれません。
「面と向かってみても、何を聞いたらいいか分からない」
「一問一答で終わってしまい、リアリティのある言葉を引き出せない」
「たくさんの社員にインタビューをしているので、もう聞くことがない」
のようなお悩みを抱えている方も多いのでは?
そこで、今回は数々の企業で採用広報のサポートをおこない、これまでに200名以上に社員インタビューをしてきた私から、誰でも上手に採用成功へと繋がる社員インタビューができるようになる方法を「準備・聞き方・まとめ方」の三点に分けてお伝えします。
contents
▍1. 準備:まずは「初対面だと思い込む」
社員インタビューに難しさを覚える場合、その原因の大部分を占めているのが「相手のことを知っている(知りすぎている)」ということ。
日頃から仕事で接している社員を相手に、社員インタビューだからといってあらたまって応接室で向き合っても、恥ずかしいやら可笑しいやら、なかなか質問は出てこないものです。
もちろん私も、日頃から深くお付き合いをしているクライアントの担当者にインタビューをしなくてはならない場面では、同じように恥ずかしいやら可笑しいやら、何だかむずがゆい気持ちになってしまいます。
そんなときには、読者(求職者)の気持ちになりきって「いま、私はこの人と初めて会ったのだ」と思い込んでみましょう。
「この人はふだん、どんな気持ちで仕事をしているのだろう」
「この人は、なぜこの会社に入ったのだろう」
「この人は仕事のなかで、何に楽しみを感じているのだろう」
と、まったく知らない人に初めて話を聞くような気持ちになってみるのです。
すると、意外と自分が相手のことを「本当に」知らないことに気付くはずです。
職場での雑談では、なかなかこんな話はしませんからね。
ここまで気持ちが作れたら、あとは準備しておいた質問をひとつずつ聞いていきます。
▍2. 聞きかた:用意した質問に縛られず、横道を楽しもう
気持ちを作ることができたら、いよいよ質問をしていきます。インタビューの本丸ですね。
きっと多くの方は、事前に質問事項を用意していると思います。
たとえば、次のようなものです。
- この会社に入ろうと思った決め手は何ですか?
- 今、どんな仕事を担当されていますか?
- 仕事のなかで、楽しい・面白いと思う瞬間はどんなときですか?
- 仕事のやりがいを教えてください。
- この会社や仕事に興味を持っている方に一言お願いします。
どれも採用のために行われる社員インタビューでは定番の質問ですが、この質問を何人もの社員に繰り返し聞いていると、だんだん相手の答えが「マンネリ」に聞こえてくるはずです。
そう、たとえば次のような答えばかりが返ってきたりしてしまいます。
「人の良さが決め手でした」
「やっぱり、お客さまから感謝の言葉をいただくことがいちばんです」
「難しい課題にチームの力をあわせて向き合い、解決できたときにやりがいを感じます」
多くの人が異口同音にそう言うのであれば、きっとあなたの会社が持っている「本当の魅力」がそこにあるのでしょう。
それはとても大切なことですが、社員インタビューを読む求職者が知りたいのは、その社員が何を考え、どう感じているのかがわかる、もっと個人的で、オリジナリティのある言葉であるはずです。
なぜなら、求職者にとっての「社員インタビュー」とはロールモデル探しのために読むものだからです。前職、年齢、性別、性格、趣味嗜好などが自分と似た社員の言葉を聞く(読む)ことで、自分があなたの会社でうまくやっていけるか、確認しています。
つまり、異口同音に話される「会社の本当の魅力」よりも、「その人にとっての会社の魅力」を、社員の言葉として引き出すことの方が大切なのです。
そんな言葉を引き出すのは簡単ではないと思われるかもしれません。いえいえ、実はそれほど難しいことではないんです。
やるべきことはシンプルで、用意していた質問から外れた横道へと意識して入っていくことで実現できます。
たとえば、次のような感じです。
A:「この会社に入ろうと思った決め手は何ですか?」
B:「そうですね、カジュアル面談や面接で接した社員の方々がみんないい人で、この人たちとなら楽しく働けると思ったからですね」
A:「え。でも、○○さんの面接を担当したのって、たしか□□さんでしたよね? 第一印象はちょっと怖かったんじゃないですか?」
B:「はい、実は(笑)。でも、面接では私の逆質問にちゃんと答えてくださって、コワモテだけどきちんと向き合って話してくださる方だと分かったんです。こんな人が上司だったら適度な緊張感の中で成長しながら仕事ができるんじゃないかと思いました」
どうでしょうか? 最後に出た言葉が「その人の本当の入社理由」です。
インタビューを受ける社員も、あなたと同じように少し緊張しながらその場に臨んでいるので、こちらが用意した質問には、つい「よそいき」に答えてしまいます。あえて横道にそれて、その緊張をほぐしてあげると、ぽろっと「本当の言葉」を話してくれますよ。
▍3. 書きかた:「この人は、こんな人」が分かるコアのエピソードからはじめる
では最後に、インタビューを記事としてまとめる(書く)方法をお伝えします。
ライティング(記事執筆)はプロの仕事で、人事担当である自分には難しいと考えて苦手意識を持っている方も多いかもしれません。
たしかに「プロの仕事」として記事を書いているライターのように1週間で3本も4本も記事を書くことは難しいでしょう。
でも、1ヶ月で1本書ければよいのなら、ちょっとしたポイントをおさえるだけで、きっとあなたにも書くことができます。
書きかたのポイント1:インタビューで話した順番にこだわらない
最初のポイントは、「インタビューで話した順番にこだわらない」ということです。
記事執筆に慣れていない方は、インタビューの流れをそのまま、読みやすく整えることで記事を作ろうとしてしまうことがよくあります。
もちろん、それも1つの方法ではありますが、それこそ「プロの仕事」です。
インタビューというのは、あとから聞き直してみると想像していたよりも話があっちこっちに転がっていて、とりとめがありません。前の章でレクチャーしたように「横道」にそれながら行われたインタビューであれば、なおさらです。
それを、そのとおりの順番で読みやすい記事にするのは、実はとても難しいことなのです。
書き方のポイント2:相手の価値観の「コア」から書き始める
では、どのように順番を決めて記事を書けばいいのでしょうか。
まずはは、「インタビューをした社員にとって、仕事をする上でもっとも大切な価値観」が何であるのかを見極めることがポイントです。
それは人によってそれぞれで、「挑戦しがいのある仕事」だったり「人間関係が良好であること」だったり「ワークライフバランスが整えられること」だったりします。
そして、それらの価値観を基本として、あらゆる質問に答えているはずです。それがその人の「コア」だからです。
なので、まずはその価値観がもっとも分かりやすいエピソードから記事を書いてしまえばいいのです。
たとえば「挑戦しがいのある仕事」をコアとして持っている社員であれば、記事の最初の章(小見出し)は次のようなものになります。
「入社1年目で任された大プロジェクト 緊張の中で臨んだキックオフでの出来事」
実際に話したのはインタビューの後半であっても、このエピソードから記事を始めてみます。
すると、その社員の方が「挑戦しがいのある仕事」をいかに大切にしていて、それがあるからこそ仕事を楽しめていることがきちんと読者に伝わります。
そうすれば、読者もはやい段階で「この人は、こんな人」というコアを掴みやすく、そのあとに続く他のエピソードもスムーズに読めるはずです。
そして、何より記事を書きやすくなります。
書き手であるあなたも、読者と同じように「この人は、こんな人」というコアを掴んだ状態になれるからです。
同じように、記事の最初で「この人は、こんな人」というコアを理解してもらうことが大切なのです。
そのためには、インタビューの現場で行われた話の順序にこだわることにメリットがないことが分かっていただけるのではないでしょうか。
▍まとめ:相手に興味をもって話を聞き、読者のことを想像して書く
この記事では、社員インタビューを自分たちで行おうと考えたときに覚えておくべき重要なポイントをおさえてお伝えしました。
まずは「初対面であると思い込む」こと、次に「横道にそれながら話をきいていく」こと、最後に「コアとなるエピソードから書き始める」ことの3つです。
これらを総合して考えると、大切なのは「相手に興味をもって話を聞くこと」と「読者のことを想像して書くこと」の2つにまとめることができます。
これらのポイントを忘れずに、ぜひいい社員インタビューを作ってくださいね。
もし自分たちだけでは難しそうだと感じたり、最初の数本だけはプロに書いてもらってあとから自分たちで作ってみるのがよさそうだと思ったりした方は、ぜひsiroまでご連絡ください!いっしょに、効果の出る社員インタビューを作っていきましょう。
Yuta Tsukaoka
コンテンツプロデューサー。スタートアップからナショナルクライアントまで幅広い企業に対し、コンテンツマーケティングによる課題解決の支援を提供している。 趣味は熱帯魚・園芸・車中泊旅行。